お話 近藤順子(念速寺住職) 2025年2月11日
皆さんこんにちは。今月の法話を担当します。念速寺の近藤です。よろしくお願いします。
前回のお話しでは、阿弥陀さんの四十八の願いの18番目と19番目の話をしましたが、そもそも「四十八の願いとは何か」ということについて、今回はお話しします。
親鸞さんが書かれた『教行信証』を貫く経典を『大無量寿経』と言います。紀元前後にできた大乗経典の中の一つと言われていますが、上下二巻あり、上巻には、どのようにして阿弥陀仏は極楽という名の国を建てたのか、下巻には、どのようにしたら極楽に生まれることができるのか、が説かれています。
あるところに、どうしたら人々が争わずに済むのだろうと念じていた国王(無諍念王)がいました。世自在王仏という名の仏さまが、その国に説法にやってくると聞いた国王は、早速、話を聞きに行きます。話に感動した国王は「私も世自在王仏のようになりたい」と思い、国王としての立場や名誉や財産を捨てて、出家します。その名を「法蔵」と言います。
法蔵は争いのない国を建てたいと、世自在王仏に教えを請います。すると世自在王仏は神通力を使って様々な国の様子を見せるわけです。結果として今は仏の国になったけれども、そうなるまでにどのような紆余曲折があったのか、その国にはどのような人がいるのか、良い人も悪い人の様子もすべてを見せました。
それを見終わった法蔵は考えます。では私の建てたい国は、どのような国であったらいいのか、そこの住人はどのような人たちなのだろうか。五劫もの長い時間をかけて、悩むわけです。
そして決断した法蔵は「世自在王仏様、私の建てたい国は、このような国です。どうか私の願いを聞いてください」と言って、四十八の願いを第一願は、第二願はと、一つずつ語っていくわけです。
「その国に、このような人がいるようなら、私は仏にはなりません」と、決意を語った法蔵は、すべてを話し終わると、その国を建てるために修行を始めます。
その修行も気の遠くなるほど長い時間がかかりますが、ついにその修行を完成し、法蔵は今、阿弥陀仏となって極楽浄土で説法をしておられるのです。
このようにして『大無量寿経』の上巻には、国王だった法蔵が、地位やお金では解決することのできない課題に対して、「名を称える」という手だてによって、私たちを導こうとする物語が登場します。あなたがもし、多くの国民とともに生きる国王やリーダーであったなら、どのような国にしたいですか?世界中で起きている様々な争いを超えるために、今、あなたにできることは何でしょうか?
お話しは以上です。
有難うございました。